(33)

<お>お知らせ
 神様から届けられるメッセージ。当面する事柄の意味や見通しなどを内容とする。
 今の世では「神様の声が聞こえる」などといえば、精神科で診察を受けるように勧められそうであるが、いわゆる神がかりと呼ばれるような特殊な状態を伴うものではなくて、極日常的に誰もが経験する、虫の知らせとか、ふとした思い付きといったようなことも含めて、ありとあらゆることの中に神様から発せられたメッセージを感じ取るのである。
 自分と自分以外の全体世界とをどう関係付け、どう結んでいくか。個と全体の矛盾衝突を克服していくことこそ、人生最大の課題であるといってよい。それはそのまま、信心の最重要課題でもある。ある宗教は、個を限りなく無に近づけ全体の中に溶かし込めよと説く。またある宗教は個と神との契約に服せよと教える。
 金光教祖金光大神は、神と人とがあいよかけよで助かり立ち行く天地の道理を説いた。願われて願い、生かされて生きる。自分の行為も自分だけでできているのではなくて、おかげでできていることを踏まえ、もう一度そのような観点に立ち返ってそこから事態を見直し受け取り直してみることを勧めた。このような個と全体の関係の見直しを促す働きを生神金光大神と称し、その取次を受けることで誰でも容易に天地全体の中で生かされている自己に立ち返り、神人生活へと導かれることができだした。
 お知らせは、この生神金光大神による取次を通して届けられるものであるが、その取次の働きを受けつつ生活していくうちに、いわゆる勘というか、天地全体の大きないのちの息遣いを感受する感度(身体感覚)に磨きがかかっていく。自らの内に生神金光大神が物を言って下さるようにもなる。以前なら平気で通っていたことが見過ごせなくなるとか、自他の区別にこだわって自分の顔をつぶされないように努めていたものが、人の助かるためになら泥かぶりも厭わないようになるとか、変化を促され導かれ行く先には、この世界と自己との二つながらの立ち行きの成就が約束されているのである。
 具体的に受け取る個々のお知らせの本当の意味なり価値なりが自己の中で明きらかになるのには、それなりの時間を要するのであって、あとから振り返り振り返り噛み締めていく営みを経る必要がある。
 
(34)「食物」へ

表紙へ戻る
TOPへ