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<こ>金光

 金光とはGolden Light。暗闇を照らす金色の光の意。天地金乃神の神願を指す。神願に出会った第1号赤沢文治を生神金光大神と唱え、彼を通して人の世に出現した救済の道及び救われた人々による共同体を指して「金光教」と号し、今日に至る。
 中国では、古い文献にその用例が見られ、文字通り黄金色の光を表し、また武器がきらっと光るさまを表すこともある。金光明最勝王経という仏教のお経があるが、古来金色に対して抱く感情は、究極のものへのあこがれというか、一種特別のものがあったことは、容易に知れる。平泉金色堂にも洛西金閣にも、そのまばゆさの中に、救世主の発する無限の光と同時に、人目を驚かすに足る力の象徴を見ることができよう。
 金光教祖生神金光大神の場合、神仏への信仰も厚くまじめに人生を生きてなお不幸に追い込まれ存亡の危機に立たされて、そこで初めて神願に出会った。人間に対して罰を下す神ではなく、生みの親として助かり立ち行く働きであれかしとわが子に願いをかけて止まない神の心に通じることができた。その時、これまで不幸としか映らなかった逃げ出したい苦境・暗闇が、実は私の助かるための力を養う道場、救済の光に満ち満ちた神の国であると見極められたのである。人間の都合からすると甚だ不都合な負荷ゆえに、罰を蒙ったとしか受け取ることができなかったけれども、神様は助けることに一心であられた。育ち行けよ、力を付けよ。人を助ける身になれよ。その願いが人の何倍も強くこの私にかけられてあった。ここに思いが至った時に、一瞬金色の光が稲妻のように走るのが見え、衝撃に身が打ち震えた。これは私の個人的な体験を経て推測するに過ぎないのだけれど。
 生神金光大神がこのようにして誕生し、自己の体験を語り始めてから、同じ体験に導かれる人があとに続き、今日の金光教を形成してきた。今も形成しつつある。



付録 漢字教室 [金][光]編
>土の中に点在する金属を示す「ソ」を加え、その上に発音を示す「今」(キン又はコン)が付加された形。古代中国で生まれた五行思想(森羅万象は木火土金水を構成原素として成立しているという考え)によると、金は方角では西、季節では秋、殺伐の気をはらむと考えられ、暦神金神にたたり神的な性格を付与することにつながったものと思われる。近代に至り貨幣経済が世を覆うようになると、同じ「金神」という文字を見ても、お金Moneyの神様と受け止める気分が高まった。黄金もお金も人間の欲望をそそる絶大な威力を持っているが、それが人間を破滅へ導く魔物でもあることを考えあわせると、容易に金に近づかせることをさせない悪神とおぼしき神こそが、まこと大愛の神、助かりを願う神だということも了解できるはず。

>人の上で火が燃えている形。遠くまで達することのできる輝きを示す。いくら視力のよい人でも、光がなければ物は見えない。逆に光はあっても、視力がなくては、これまた物を見ることができない。あいよかけよの関係を示す好例となる。
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