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<て>典楽
 金光教の儀式時に奏せられる音楽で、日本の伝統的楽器を用いて演奏する。雅楽に手を加えた金光教独自の中正楽(無声)と金光教典楽(歌付)及び吉備地方の伝統芸能に由来する吉備舞から成る。
 金光教の祭典そのものが、神道傘下の一教会として組織され公認された1885(明治18)年の時点で整備されたのであってみれば、迷うことなく神道儀式を踏襲することになったのは当然の成り行きというものです。1887(明治20)年秋、本部で執行された教祖5年大祭時に初めて雅楽が奉納されたとあります。(平安教会布教百年記念「千歳百歳」74〜75P.)
 金光教独自の典楽が成立したのは、それより遥か後の1915(大正4)年、時の金光教楽長小原音人氏の尽力によるものです。その後もところによって雅楽を採用しているケースがあったり、今に至るも典楽の演奏奉納に関しては儀式執行上特段の規定があるわけではありません。楽人は典楽会を組織して研鑽に励み技量の向上に努め、典楽会が行う試験に合格した者は楽員に認定され本部広前における祭典時の奏楽奉仕にあたることになっています。
 典楽会員の心得にもうたわれているように、単に演奏者として腕を上げることよりも、助かりの道に生かされている喜びを深め、報恩の真心をもって信心を伝えていくことが願いの中心にあります。日頃練習を積む過程で教える人と教えられる者の関係、あるいは楽器との関係、その他お世話になるものとのかかわり方を学びながら信心に磨きをかける機会に恵まれることは、間違いありません。

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