(83)
<う>氏子
 天地金乃神にとっての子、つまり人間のこと。
 神道の用語としては、氏神にとっての「内の子」という意味で用いられ、氏神の縁者を指します。それに対して、天地金乃神の氏子という場合は、信心しているか否か等一切の限定がなく、天地の間に生息するすべての人間という意味で用います。
 天地金乃神は、その働きの及ぶところをここからここまでと限定しない、極大にして天地丸生かしの神であります。人間は、その天地に区切りを入れて、人間自身をも区分けします。本来無限の全体というべき天地金乃神を切り取って有限のものと見なす人間の行為は、絶えず天地金乃神から問題提起を受けることになります。「氏子は、天地の間におっておかげを知らず、神の地所に住み這いしながらそのわけを知らず、無礼を重ねている」(明治6年10月10日のご神伝の大意)という天地金乃神の仰せは、氏子の難儀な実態を浮かび上がらせ、無礼の自覚を迫るものです。
 しかもその一方で、無礼この上ない人間を愛し子と抱き抱えてその立ち行きを願い続ける親神の無限の祈りのおかげで、今月今日生かされている人間であります。
 生神金光大神の取次を受けて、このような氏子である自分に目覚め、天地金乃神の願いを日々頂き直しつつ、自らを育て高める取り組みに励んで、神人の関係を深め助かりを目指すことが人間一生の一大事業であると信ぜしめられた者を金光教の信奉者といいます。信心しない氏子にこそなお信心して助かってくれよと願われる親神の親心を思って、未信奉者の助かりに心を砕き力を尽くしていくことも、一足先に信奉者とならせてもらった氏子の大切なお役目であります。

TOPへ