(116)
<こ>個人情報
 氏名、性別、生年月日、指紋等,個人を識別する情報に限られず、個人の身体、能力、所得、所有財産、肩書等の属性に関して、事実・判断・評価を表すすべての情報を指します。すでに公にされている情報や、映像、音声によるもの、暗号化等によって秘匿化されているものも含みます。
 個人情報保護法では「生存する個人に関する情報」としていますが、故人に関する情報であっても生存者にとっての個人情報となる場合があることは十分考えられます。
 同法は、個人情報取り扱う事業者に対して、以下の通りルールに則りこれを厳守するよう求めています。
 @個人情報を取得する時は、その目的を明確に示し、目的以外の使用はしないこと。特に、差別につながる可能性のある情報、たとえば人種、信条、病歴、犯罪被害等については本人の同意を得る必要あり。
 A個人情報を保管するに当たっては、漏えいしないよう万全を期すること。
 B法令に基づく場合(国勢調査、司法捜索など)、災害時で本人の同意を得ることが困難などの場合、行政への協力が必要とされる場合(公衆衛生上の措置や児童虐待への介入など)は、本人の同意を得ずに情報を取得することができる。
 C本人から情報の開示、訂正、提供の停止等の請求がある時は、適切に対応できるよう応答態勢を備えておくこと。
適応除外
 報道・著述業関係、教育研究関係、宗教団体、政治団体が、それぞれ、報道・著述、学術研究、宗教活動、政治活動の目的で個人情報を利用する場合は、個人情報取扱事業者の義務の適用を受けない(第50条1項)。これらの者については、個人情報保護のために必要な措置を自ら講じ、内容を公表する努力義務が課せられる(第50条3項)
 
 この法律の目的は、データベース上の個人情報(個人データ:同法2条4項)の管理を適正化する法律であり、プライバシー権(日本国憲法第13条の「幸福追求権」の一環としての自己決定権)を保障するものです。その趣旨は、主に、自己の意思によらずして情報が他へ流用されたり利用されたりするのを阻止するものであり、自己にとって不利益をもたらす行為を排除するところにあります。
 現実にはこの法律の趣旨を理解しないために、「学級名簿・卒業アルバムが作れない」「医療機関への個人情報の提供を拒む」「鉄道事故が起きたのに、鉄道会社が家族の安否確認に応じてくれない」などの問題が、多々報告されています。
 情報化が進み、買物情報、交通機関の利用移動情報、等々日常的に情報が収集集積されています。個人の志向・傾向についての情報を把握されてしまっている中で、知らず知らずのうちに利用され加工され操作されているのが、現状であります。個人情報の取り扱われ方に敏感になるのは好ましくても、自己の利益に叶うか不利益を被るかという、判断の基準をそれぞれが明確に持たなければ、余計な混乱をきたしてしまうおそれのあることも否めません。

TOPへ